世界のウイスキー現在、世界の様々な国でウイスキーがつくらています。そのなかでもスコットランドとアイルランド、 バーボンで知られる アメリカと、その隣の国カナダ。以上の4カ国に、日本を加えた5カ国が、質量ともに世界の ウイスキーをリードしています。

スコッチ
スコッチとはスコットランドで蒸留されるウイスキーの代名詞です。 スコットランド特有の北の海岸性の冷涼な気候と良質な水、バーレー(Barley)が絶妙に絡み合って 初めて成り立つものです。スコットランドの法律では、スコッチ・ウイスキーは「大麦麦芽の酵素 により糖化させた穀類の液をスコットランド内で蒸留し、木製の樽で最低3年間、保税倉庫で熟成 したもの」と定義されており、アメリカやアイルランドで醸造されたものはスコッチとは呼びません。

伝統的に、スコットランドのローランド(Lawland)、ハイランド(Highland)、スコットランド 西海岸沖に浮かぶアイラ(アイレイ)(Islay)、アイランド(Island)、キャンプベルタウン (Campbeltown)の各地域がスコッチ蒸留の主要地域です。

なかでもハイランドにあるスペイサイド(Speyside)地区は、スコッチ・モルト・ウイスキー蒸留所 の半数が集中する銘醸地として知られています。

アイリッシュ
アイリッシュ・ウイスキーの生産地のアイルランドは、ウイスキー誕生の地と考えられています。 嘗てこの地ではアスキボー(生命の水の意味)と言う蒸留酒が飲まれていましたが、これが ウイスキーの祖先であり、ウイスキーと言う語源もここから来たといわれています。

現在、アイリッシュウイスキーは、原料には大麦麦芽に、未発芽の大麦、ライ麦、小麦などが 使われています。これらは一緒に混ぜて、発酵・蒸留されます。蒸留は、大型単式蒸留機で3回 行われます(最近は2回の場合も有る)。蒸留後のアルコールの平均値は85度程度で高濃度のため、 副成分による雑味が少なく、スコッチのモルト原酒に比べれば、一般的には軽めのものといえます。

熟成にはホワイトオークの新樽の他、バーボン、ラム、シェリーなどの古樽も使われます。 熟成期間は3年以上で、こうして作られたものは、アイリッシュ・ストレート・ウイスキーと 呼ばれます。これをそのまま製品化する場合が多いですが、とうもろこし主体のグレーン・スピリッツ をブレンドして製品化する物もあります。

バーボン
アメリカのケンタッキー州バーボン郡で生まれたウイスキーをさします。

「原料の穀物中にトウモロコシを51%以上含み、連続式蒸溜機でアルコール分40度以上、 80度以下で蒸溜し、さらに内面を焦がしたホワイト・オークの新樽で、アルコール度数62.5度 以下で最低2年以上熟成したもの」というのがアメリカの法律に定めるバーボンの定義です。 特有の赤みがかった色味と華やかな香りが特徴です。

ジャック・ダニエルズは実はケンタッキー州ではなくテネシー州で作られているので、ラベルに バーボンとは書いていません。

カナディアン
カナダのウイスキーは、世界の五大ウイスキーのなかでは、最も軽快な風味をもっています。 ライトウイスキーの典型が揃っています。

カナディアンウイスキーは、フレーバリングウイスキーとベースウイスキーの二つの原酒をまずつくり、 三年以上の樽熟成をしたのち、ブレンドして製品化されます。

フレーバリングウイスキーは、ライ麦を原料の主体にして、連続式蒸留ののち、さらに単式蒸留を 重ねて、おだやかな穀物香味の酒をつくります。ベースウイスキーは、とうもろこしが主原料。 連続式蒸留によるきわめてクリーンな酒です。両者ともに、樽熟成としてブランデー古樽、シェリー 古樽、バーボン古樽、ホワイト・オーク新樽、同古樽などを使い、熟成期間はさまざです。 それらを巧みにブレンドしながら、最終的にはソフトな味の酒に仕上げられます。

ジャパニーズ
「日本の主だったウイスキーは事実の点でも香味の点でも、その祖先をまちがいなくスコットランド にもつ。日本の最初のウイスキー生産者を養成したのは、スコットランドのアカデミックな 研究所だった」(マイケル・ジャクソン『世界のウイスキー』)より。

竹鶴政孝はスコットランドで、門外不出のスコッチ製法を学んだんだはじめての日本人です。

1920年に留学を終えて帰国した彼は、寿屋(現サントリー)に迎えられ、日本で最初の ウイスキー蒸溜所である山崎蒸溜所の建設に取り組みます。

やがて竹鶴は自分の理想とするウイスキーづくりを目指し北海道・余市に大日本果汁 (1934年、現ニッカウヰスキー)を設立します。

日本でのウイスキー製造技術はその後、日本人の繊細な味覚を基準に急速に発展してきました。 日本のウイスキーは、原料、蒸溜方法の面から見て、スコッチと同じタイプです。 しかし製造技術の工夫、そして日本ならではの良質の水や気候風土の違いから、ジャパニーズ ウイスキーの品質が確立され、世界に認められています。