簡単に言ってしまえば「穀類からつくられた蒸溜酒を、木の樽で貯蔵してつくられる」というものです。これだけでは???ですね。穀物がどのようにして、ウイスキーになっていくのでしょうか。
下記は大まかな流れです。いろんな過程をへて我々の口に入るのですね。

原料

原料
原料は大麦、小麦、ライ麦、とうもろこしなどの穀類。使われる原料の違いでさまざまなタイプのウイスキーに分類されます。

<モルト・ウィスキー>
大麦麦芽(モルト)のみを原料とするウィスキー。蒸留は主に単式蒸留機が使われて、“ピュアモルト”“オールモルト”と呼ぶことがある。風味が強く華やかな香りと、深くて濃い味を持ち個性豊かであることが特徴。

<グレーン・ウィスキー>
穀類を原料の80~90%使用し、大麦麦芽だけでなく主にコーン、ライ麦など他の穀物も使用。蒸留機は連続式蒸留機を使い、大規模な蒸留所で作られる。高いアルコール濃度で蒸留されるので、風味はソフトでマイルドなのだが個性が弱いのが特徴。

<ブレンデッド・ウィスキー>
多種のモルトとグレーンを混ぜ合わせたもの。モルトの荒削りな味をグレーンの軽い味でまとめ、なめらかな味にしたもの。ブランド間にかなり風味の差はあるけれども、モルトウィスキーほどではなく、全体的にバランスがよくライトなのが特徴。

糖化
糖化穀類を破砕したものに温水を加え、それに酵素を作用させてデンプンを糖に変えます。ウイスキーの場合、大麦麦芽(=芽の出た大麦)に含まれている酵素を使います。
麦芽は、糖化の際に粉砕して「グリスト」と呼ばれる粉砕麦芽になり、温水と混ぜられます。この麦芽の粉砕条件によってグリストの細かさが異なり、糖化液のろ過の際に大きく影響します。

醗酵
醗酵デンプンの糖化によってできた糖化液に酵母を加えると、液体中の糖がアルコールと炭酸ガスに変わります。イースト菌の作用によって糖分をアルコールと炭酸ガスに分解して、アルコール度数8%程度のビールのような醸造酒ができます。この匂いは嗅ぎなれたビールのものとは似つかない強烈なもので、深く吸い込むと息が出来なくなってしまうほどの刺激臭があります。ここで得られたものをウォッシュと呼びます。

蒸溜
蒸溜醗酵によってできたアルコールを含んだ醗酵液を蒸溜して、アルコール分を濃縮します。
蒸溜には大きく分けて、単式蒸溜と連続式蒸溜の二通りの方法があります。この蒸溜の違いによって、ウイスキーのタイプが変わってきます。また、単式蒸溜(ポット・スチル:Pot still)にもいろいろと形状があり、その還流によって風味が変わります。

樽貯蔵
樽貯蔵蒸溜液は樽に詰められて、貯蔵庫で熟成に入ります。蒸溜液が歳月を経て、無色透明から琥珀色に変化していくこの工程を熟成といいます。
その昔、貯蔵容器、運搬容器として使われはじめた木の樽が、いまではウイスキーを熟成させるために必要不可欠になりました。
代表的な樽材としてはホワイトオークが知られていますが、シェリー酒の空樽が使われることもあります。新樽を使う場合、ウイスキーの刺激臭を吸収するために、普通内側を火で焼きます。この焼き具合が、ウイスキーの熟成に微妙に影響します。
熟成には樽の材質や容積、貯蔵される際の庫内での場所、積み上げる段数、湿度や温度といった要素が複雑に影響し、樽から木材成分が溶け出したり、樽材を通して空気と接触することによっても蒸溜液のさまざまな成分が変化します。
こうした条件が微妙に絡み合って、ウイスキーらしい豊かな味わいと深い香りが生まれてきます。